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科目名 IPビジネス契約特論【MS】 
科目名(英字) Advanced Study of Intellectual Property Business Contracts 
ナンバリング MPCD21 
年次 1年次 
単位数
期間 前期 
担当者

岡本 清秀(オカモト キヨヒデ)




授業のねら
い・概要
戦後日本の産業は奇跡的な成長を遂げ、世界一の市場競争力を有するまでになったが、今世紀に入って幾つかの主要産業が衰退し始めている。このような産業の盛衰にライセンス戦略が大きく関わっており、知的財産を扱う契約はビジネスの成否を分ける重要な鍵となっている。特に技術の進歩が著しい分野においては、他社が保有する知的財産を利用せず自社が保有する知的財産のみを用いて商品を開発・製造・販売することは困難となっており、企業間で知的財産権の実施許諾が行なわれる。したがって企業の知的財産の戦略実務業務において、知的財産契約実務を的確に行い得る専門知識が重要であり、本講座では知的財産契約に必要な法制上の知識と実務上の知識の双方を体系的に修得することを狙いとする。
15回の講義においては、ビジネス戦略と一体の知財戦略の重要性を理解し、ビジネス戦略の推進に必要な各種知的財産契約および関連法規を俯瞰する。さらに、特許ライセンス契約の主要条項を実例をもとに学習し、模擬ライセンス交渉により交渉開始から契約に至るプロセスと留意点を理解し、特許ライセンス契約書の作成演習により知的財産契約の要点を見抜く力を身に付ける。企業の知財人財に必修の内容としている。 
授業計画
テーマ 内容・方法等 予習/復習
第1回 企業経営と知的財産契約(1) 
- ライセンスとIP契約の背景 
ライセンス・インは国と産業を繁栄させる。日本の産業は戦後如何にして繁栄し、近年韓国,中国の台頭にあって、何が原因で衰退しているかライセンスの観点から事例を交えて概説し討論し、ライセンスとIP契約の背景を習得する。  ・日本の現在の強い産業と衰退している要因を、関連ニュース記事やウエブページで調べて授業に臨むこと。(3時間) 
・授業内容の復習(1時間) 
第2回 企業経営と知的財産契約(2)
- IPライセンスマネジメント 
知財戦略は事業戦略と一体として策定・推進されるべきであり、どのような事業戦略を選択するかで最適な知財戦略が異なる。企業の経営戦略上、知的財産の活用が重要となっておりその方策としてIPライセンスマネジメントの実態を、事例を交え概説し討論する。  事業戦略とライセンス関連ニュース記事やウエブページで調べて授業に臨むこと。(3時間) 
・授業内容の復習(1時間) 
第3回 契約の種類
-民法における契約の概念 
日本の民法に定める契約の原則、契約の法規制を理解し、契約の基礎を習得し、事例を交え概説し討論する。契約の用語を習得する。  ・民法第2章「契約」の予習をして授業に臨むこと(3時間) 
・授業内容の復習(1時間) 
第4回 知的財産契約の概要  ビジネスの状況に応じて取り交わされる各種の知的財産契約を俯瞰する。特許・実用新案・意匠、商標、著作権など各種知財を扱うライセンス契約、実施権の類型と法的性質などを事例を交え概説し討論する。  ・知的財産契約の種類について調べて授業に臨むこと(3時間) 
・授業内容の復習(1時間) 
第5回 特許ライセンス契約 - 標準形とその応用  特許ライセンス契約の標準的内容を契約書例を参照しつつ説明し、討論により理解を深める。特許ライセンス契約は企業の事業実態に合わせて優位に締結していく必要があり、標準型契約から如何に応用していくかを事例を交え概説し討論する。  ・契約サンプル教材を熟読し授業に臨むこと(2時間) 
・授業内容の復習(2時間) 
第6回 特許ライセンス契約-主要条項、(第1回課題レポート説明)  特許ライセンス契約における主要条項として、許諾特許、許諾製品、実施権、許諾期間、契約当事者、対価を中心に契約条項のサンプルや事例を交え概説し討論する。  ・契約サンプル教材を熟読し授業に臨むこと(2時間) 
・授業内容の復習(2時間) 
第7回 特許ライセンス契約 - 一般条項  特許ライセンス契約の一般条項について、改良発明、不争義務、秘密保持、特許表示、侵害条項、最恵待遇条項、解約条項、契約終了条項、譲渡条項、通知条項などについて事例をまじえ概説し討論する。  ・契約サンプル教材の関連条項を熟読し授業に臨むこと(1時間) 
・授業内容の復習、課題レポートの作成(3時間) 
第8回 ノウハウライセンス契約、機密保持契約  ノウハウライセンス契約、機密保持契約(NDA)を標準的な契約事例を交え概説し討論する。営業秘密の法的保護の対応法及びリスクについての理解も深める。  ・契約サンプル教材の関連条項を熟読し授業に臨むこと(1時間) 
・授業内容の復習、課題レポートの作成(3時間) 
第9回 知的財産に関するライセンス契約の発表・討論
(第1回課題レポート発表・討論) 
特許ライセンス契約に関する第1回課題レポートを提出し、その内容について発表し、質疑、討論する。これにより、事業者が締結する特許ライセンス契約の背景、目的、権利・義務、履行の管理などについての知識を深め理解を確実にする。  ・契約サンプル教材を熟読し授業に臨むこと(2時間) 
・授業内容の復習(2時間) 
第10回 包括クロスライセンス契約、特許譲渡契約、特許プール、技術標準にかかわる特許ライセンス契約  包括クロスライセンス契約、特許譲渡契約の実体とその契約事例を概説し討論する。情報・通信技術分野においては技術の標準化活動が活発で、当該標準技術の必須特許のプールとそのライセンスが行われるが、独占禁止法による契約の法規制、その具体的な事例を交え概説し討論する。  ・公取ガイドラインの予習(3時間)
・指定参考書を参照し、テキストの復習(1時間) 
第11回 知財権行使の防衛と活用ー守りと攻めのライセンス戦略
(第2回課題レポート説明) 
事業継続の障害となりうる他社からの知的財産権の行使への対応のあり方と、事業収益を上げるための自社知的財産権の行使のあり方を事例を通して学び、討論により理解を深める。実施料獲得、制限的ライセンスによる技術の独占実施、知財譲渡による対価獲得などにつき学ぶ。  ・ネットで権利行使事例を調べる(3時間)
・授業内容を復習(1時間) 
第12回 模擬交渉1
- 特許・事業の分析、交渉方針検討、第1回ライセンス交渉 
各チーム毎に配布された、経営データ、事業戦略、保有知的財産、相手先チームとの間に生じた事業上の問題・課題を検討した上で、それらの問題・課題を解決すべく、特許ライセンス交渉方針を策定する。策定した方針に沿って第1回ライセンス模擬交渉を行い、その内容につき全員で討論する。知財契約に関する知識の実務への適用を学び、知識の定着を図るとともに企業における知財ライセンス交渉及び契約実務担当者のイメージをつかむ。  ・ 模擬交渉のチーム毎に協力し授業内容を復習(1時間)
・ 模擬交渉のチーム毎に協力し、模擬交渉2を準備(3時間) 
第13回 模擬交渉2
- 交渉方針見直し、第2回ライセンス交渉、契約基本条件合意 
第一回交渉における相手先チームの主張・提案内容を検討し、双方にとって受け入れ可能な妥協点を探るべく各チームで交渉戦略の見直しを議論する。第2回交渉を開催し、双方合意した事項の記録としての基本合意内容の覚書を作成し、その内容につき全員で討論する事により知財契約の契約主要条項に関する知識の実務への適用を学び、さらなる知識の定着を図るとともに企業における知財ライセンス交渉及び契約実務担当者のイメージをつかむ。  ・ 模擬交渉のチーム毎に協力し授業内容を復習(1時間)
・ 各自課題レポートの作成とチーム毎の発表準備(3時間) 
第14回 模擬交渉3
- 契約書案提示(第2回課題レポート発表・討論)調印、実施料支払、契約管理 
交渉の経緯及び基本合意の覚書の内容を反映し、かつ、交渉で議論の対象にならなかった一般条項も盛り込んだ契約書を各自で起案し(第2回課題レポート)提出する。各自が起案した契約書案を発表し、質疑、討論する。これにより、企業戦略の実現手段としてのライセンス契約の重要性を理解する。また、契約の権利・義務の履行及び管理にいての実務知識をさらに深める。  ・ 授業内容を復習(1時間)
・ 各自課題レポートを完成(3時間) 
第15回 研究開発成果の事業化と経営×知財戦略- 知財ビジネス契約の留意点の総括  スタートアップベンチャー、中小企業、大企業や大学その他の研究機関による研究開発成果で事業を成功させるためのライセンス・契約戦略についての事業化戦略に関し、事例を概説し討論を行う。前回までの講義を通しての質疑応答を行った上で、知的財産契約の留意点の総括を行う。  ・ 講義全体の復習、振り返り(3時間)
・ 授業感想文の提出(1時間) 
到達目標
(1) ビジネス戦略と一体の知財戦略の重要性を理解できる。
(1) ビジネス戦略の策定に必要な知財契約および関連法規の全体像を理解できる。
(2) 知財契約の法律の基礎を習得している。
(2)彼我の特許及び事業の状況を調査できる。
(2) 彼我の特許及び事業の状況から当事者間の特許ポジションの強弱を分析できる。
(2) 簡単な特許ライセンス契約の内容を分析できる。
(2) 交渉開始から契約に至るプロセスを理解できる。
(3) 講義中の討議に積極的に参加できる。
(3) 課題でのグループ学習に協力できる。 
評価方法
授業中の発言・討論への積極的参加、模擬交渉チームでのリーダーシップなどの意欲・関心・態度: 60%
第1回課題レポート、第2回課題レポートの内容と発表での知識・理解・判断・技能: 40% 
成績評価
基準
到達目標(1)を達成できない場合、本単位を取得できない(欠格条件)。
A:到達目標(1)を達成し、到達目標(2)(3)について、90%以上の達成度で達成している。
B:到達目標(1)を達成し、到達目標(2)(3)について、80%以上90%未満の達成度で達成している。
C:到達目標(1)を達成し、到達目標(2)(3)について、70%以上80%未満の達成度で達成している。
D:到達目標(1)を達成し、到達目標(2)(3)について、60%以上70%未満の達成度で達成している。
F:上記以外 
教科書
参考書
書名 著者名 出版社名
1. 知っておきたい特許契約の基礎知識  業所有権情報・研修館   業所有権情報・研修館  
2. 知的財産契約実務ガイドブック  野口良光、石田正泰  (社)発明協会 
3. オープン&クローズ戦略 日本企業再興の条件  小川 紘一  翔泳社 
4. 知財ライセンス契約の法律相談  山上和則 藤川義人編  (株)青林書院 
受講心得
・ 特許法に関する基礎知識を身に付けていることが望ましい。
・ 企業間の特許紛争やグローバルなマーケットで成功している企業の製品・サービス・知財戦略に興味があることが望ましい。
・ 提出した課題レポートは発表・討論会の場でフィードバック及び質問を受け付けるので、各自知識・技能の定着を図ること。
・ 本科目の6時限の授業は双方向形式メディア授業に対応する。 
オフィス
アワー
授業日の授業開始前又はEメールで院生の質問に対応する。 
実践的教育