シラバス参照

科目名 知的財産評価特論【MR】 
科目名(英字) Advanced Study of Valuation of Intellectual Property 
ナンバリング MPCD20 
年次 1年次 
単位数
期間 前期 
担当者

林 茂樹(ハヤシ シゲキ)




授業のねら
い・概要
知的財産が企業戦略の中核を占めるようになり、知的財産の評価が重要な課題となってきています。会計基準の見直しも議論されており、毎年のように改定が実施されています。知的財産にはまだ絶対的な評価手法や評価基準が確立されておらず、客観的な評価は非常に困難ですが、オープン・イノベーションの進展に伴い、アライアンス、M&A、知財流通や、知財を活用したファイナンスの活性化等知財評価の必要性はますます高まっています。知財実務において価値評価の重要性は増大していますので、実務に応用できるように、知的財産の価値評価を体系的にまた具体的事例に即しつつ学びます。 
授業計画
テーマ 内容・方法等 予習/復習
第1回 知的財産評価の意義  企業活動において知的財産を評価する目的は、投資先の選別、事業計画の策定、技術や知財戦略の策定、事業自由度の確保など色々な場合があります。知的財産の価値は、知財そのものが独立した価値を持つのではなく、何を目的とするのか、いかに活用するのか、保有企業の体力や資力により大きく変化します。これら知財評価を学習するうえでの評価の基本的なスタンスを説明します。  配布資料の予習2時間復習2時間、各自適宜専門書を選び読み込む。日々の知財関係ニュースを調べる 
第2回 ケーススタディー  知的財評価は実社会ではどのような場合に必要となるのか、学生の皆さんは具体的なイメージを持つことが難しいと思います。このため、第2回の授業では、テレビプログラムの放映権を利用した、知的財産評価のケースを、売り手(プログラム製作会社)と買い手(テレビ局)に分かれ議論していただき、実際に近い知財評価を経験していただきます。  ケースの理解を深める。予習2時間復習2時間 
第3回 知的財産体系、会計学基礎  ①知的資産は、人的資産、構造資産、関係資産などから構成されます。そもそも資産とはどのように定義され、どのような場合に資産と認識されるのか、また会計学での財務諸表への資産計上とはどのような関係にあるのかなどを説明します。②会計学の知識がほとんどないことを前提にし、知的財産評価に必要な会計学の基本を学習します。  配布資料の予習2時間復習2時間、各自適宜専門書を選び読み込む。日々の知財関係ニュースを調べる 
第4回 キャシュフロー、知的財産の
会計上の扱い 
①知的財産の主要な評価方法はDCF(ディスカウント・キャッシュ・フロー)法を用いて、将来のキャッシュ・フローを現在価値に換算する方法です。このDCFを理解するためには、まずキャッシュ・フローとは何か、売り上げや利益とはどのように違うのかを理解する必要があります。②知的財産は、他社から購入した場合は資産として計上されていますが、自己創造の知的資産は一部の例外を除き大半が費用処理されています。なぜそのような処理になっているのか、現在の知的財産評価会計の論点を学習します。  配布資料の予習2時間復習2時間、各自適宜専門書を選び読み込む。日々の知財関係ニュースを調べる 
第5回 会計基準、ナッレジ型会計の論点  知的財産に関する会計は、主要会計基準である、米国会計基準と国際会計基準の位置づけがより重要なものとなってきました。自己開発の無形資産の計上方法や、のれんの償却など依然として各国の会計基準に差がありますが、何が検討の対象となっているのか、何が課題となっているのかを説明します。現在株式時価総額と決算書上の時価純資産総額のギャップが大きく広がっています。これは現在の会計学が、依然として創造的ナレッジ型社会に、十分にキャッチアップ出来ていないことに原因があります。なぜ会計学のキャッチアップが困難かについて説明します。  配布資料の予習2時間復習2時間、各自適宜専門書を選び読み込む。日々の知財関係ニュースを調べる 
第6回 知的財産報告書、価値評価  現在の財務諸表は知的財産を的確に表現することが困難です。このため、別途知的財産報告書が作成され、知的財産の情報開示が促進されつつあります。 知的財産報告書は何を狙ったものであり、課題は何かを説明します。最近話題の統合報告書にもふれます。価値評価には、定性的評価や定量的評価などがありますが、価値は評価しようとする企業や組織のニーズにより大きく異なってしまいます。知財から得られる価値を色々な観点から検証する必要があることを学習します。  配布資料の予習2時間復習2時間、各自適宜専門書を選び読み込む。日々の知財関係ニュースを調べる 
第7回 優位性評価  先行性などの技術レベルが基本的な優位性評価の判断基準ですが、成熟性や応用性、普及性、標準、補完資産なども重要であり、色々な観点からの評価が必要なことを学習します。  配布資料の予習2時間復習2時間、各自適宜専門書を選び読み込む。日々の知財関係ニュースを調べる 
第8回 パテントマップ、ブランド  各種パテントマップや、IPランドスケープなど各種手法が発展してきています。その内容や意義について説明します。ブランドの重要性が増加しています。ブランドの価値評価を理解するため、ブランド戦略の基礎を説明します。  配布資料の予習2時間復習2時間、各自適宜専門書を選び読み込む。日々の知財関係ニュースを調べる 
第9回 法的評価・経済的評価  オープン・イノベーションの進展に伴い、権利の強さ、広さ、回避困難性、秘匿可能性など権利面での評価がより重要になってきました。このように法的な側面も色々な観点からの評価が必要であることを学びます。経済的評価として、ますます重要になってきた知財マネジメントの業種別の特徴や、最近の話題として、パテントトロールへの対応、多国籍企業の課税逃れ問題などがありますので、基本的な考え方を説明します。  配布資料の予習2時間復習2時間、各自適宜専門書を選び読み込む。日々の知財関係ニュースを調べる 
第10回 中小企業の知財戦略、ライセンス  中小企業が知財を活用する場合、大企業とは違った注意が必要となります。中小企業の知財の価値を向上させるための戦略等を講義します。ライセンスの条件設定を理解するため、ライセンス戦略の基礎を説明します。  配布資料の予習2時間復習2時間、各自適宜専門書を選び読み込む。日々の知財関係ニュースを調べる 
第11回 職務発明、損害賠償  職務発明については法改正がなさましたが、まだ詳細は不明です。過去のキャノン事件などを通じ基本的な考え方の理解を深めます。損害賠償についてその基本的な考え方を理解します。  配布資料の予習2時間復習2時間、各自適宜専門書を選び読み込む。日々の知財関係ニュースを調べる 
第12回 ディスカウント・キャッシ
ュ・フロー 
知的財産の評価を考える場合、リスクとともにいつ収益化するのかも重要な要素です。特に知的財産はキャッシュ・フローをもたらすのに時間がかかる場合が多く、各種の知的財産への投資を比較検討する場合、「時間」の問題を調整することが必要です。このためDCF(ディスカウント・キャシュ・フロー)法が最も基本的に用いられる手法です。  配布資料の予習2時間復習3
時間、各自適宜専門書を選び読み込む。日々の知財関係ニュースを調べる 
第13回 評価手法  知的財産の評価手法には絶対的な手法が残念ながら存在しません。一般的な手法は、コストアプローチ、マーケットアプローチ、インカムアプローチ、経験則アプローチなどです。これら色々な手法が存在するのは、知的財産には特殊性があり評価が困難であること、各種評価方法にはメリット・デメリットがあることが原因です。  配布資料の予習2時間復習3時間、各自適宜専門書を選び読み込む。日々の知財関係ニュースを調べる 
第14回 知財金融  知的財産を活用した資金調達には、知財を評価した融資や、ベンチャーキャピタルからの出資などがありますが、通常の金融手法では、知的財産を活用したファイナンスがやや困難であり、その原因を説明します。  配布資料の予習2時間復習3時間、各自適宜専門書を選び読み込む。日々の知財関係ニュースを調べる 
第15回 ファイナンス手法  知的財産を活用したファイナンスには工夫が必要であるため、SPC や知財信託など各種ファイナンス手法を用いたストラクチャーが開発されています。これらの知財ファイナンス手法の最近の状況を説明します。  配布資料の予習2時間復習3時間、各自適宜専門書を選び読み込む。日々の知財関係ニュースを調べる 
到達目標
(1)知財評価の考え方を理解し、基本的評価ができる
(2)知財評価のためのディスカウントキャッシュフロー法など基本的な手法を理解し、活用することができる
(3)会計の基礎を理解し、知的財産の扱いにつき説明できる。
(4)知財ファイナンスの動向を理解し、説明できる 
評価方法
質疑応答形式を採用する科目であるので、試験・レポートのみならず授業時の発表、質疑応答等の全体
的評価をもって行います。 
成績評価
基準
レポートにより、到達目標(1)を達成しているかを判定する。(1)を達成できない場合、本単位を取得できない。
到達目標(1)を達成している場合に限り、その他の到達目標達成度を、平常点(中間レポート、研究発表、授業への貢献度)50%、期末レポート50%で評価する。
A:到達目標(1)を達成し、到達目標(2)~(4)を総合的に90%以上達成。
B:到達目標(1)を達成し、到達目標(2)~(4)を総合的に90%未満達成。
C:到達目標(1)を達成し、到達目標(2)~(4)を総合的に80%未満達成。
D:到達目標(1)を達成し、到達目標(2)~(4)を総合的に70%未満達成。
F:上記以外 
教科書
参考書
書名 著者名 出版社名
1. 知的財産デユーデリジェンスの実務  デロイトトーマツ  中央経済社 
2. 知的財産戦略  丸島儀一  ダイヤモンド社 
3. 知財戦略のススメ  鮫島正洋  日経BP社 
4. オープン&クローズド戦略  小川紘一  翔泳社 
受講心得
本講座は、学生中心の運営を目指しています。授業中の積極的な発言や、プレゼンテーションなどが必須です。授業外も含め積極的に取り組み、学生間で議論することにより自己を成長させる意欲を持つ方に参加をお願いしたい。
講義の初回に資料を配布しますが、各スライドに出典や参考文献が記入されていますので、事前に目を通し、興味深い場合などは講義後に参考文献を購読ください。また、講義時間中に知財評価関係のニュースなどをプレゼンするため、知財関連のニュースをフォローください。プレゼン終了後ディスカッションし、その中で解説しますので、理解を深めてください。
提出された課題の中で誤解や不正解の多かった点は授業内で解説するので、理解に努め疑問点を解消すること。
なお、本科目は録画式メディア授業対応です。補講が生じた場合には、原則としてフォローアップ期間に実施する。 
オフィス
アワー
オフィスアワー:火曜日2 時限 林研究室
授業質問:当該授業時間の前後で対応します。 
実践的教育
【実践的教育】金融機関で知財評価の実務経験のある教員が担当