シラバス参照

科目名 審査審判対応演習【MR】 
科目名(英字) Patent Prosecution Practice 
ナンバリング MPCB22 
年次 1年次 
単位数
期間 前期 
担当者

小林 昭寛(コバヤシ アキヒロ)




授業のねら
い・概要
 知財専門家にとって最も必要とされる実務能力の一つである特許権の取得実務について学ぶことをねらいとする。
 授業の方法としては、分かりやすい事例を12件取り上げて討議と解説をすることにより、新規性、進歩性、拡大先願(特29条の2)、記載要件などの特許実務の実際を学び、現場において必要とされる実務能力を習得する。
 具体的な進め方としては、各事案ごとの課題や設問について担当グループによる発表、クラス全体による討議、質疑応答などを行う演習形式とする。ただし各回ごとに教員による解説のための講義も行う。各事案について審査・審判・裁判の判断過程や結論を分析・検討することにより、実際の特許実務や判断の相場観を学ぶ。
 なお、使用する事例は、理工系の知識を持たない受講者でも容易に理解できる技術的に平易なものを精選している。技術の内容を学ぶのではなく、特許の実務を学ぶためである。 
授業計画
テーマ 内容・方法等 予習/復習
第1回 ガイダンス  授業の進め方の説明、事例資料の配布など  授業時に指示する。(4時間) 
第2回 特許要件の判断実務の解説  事例を理解するために必要な特許要件の判断実務について説明する  授業時に指示する。(4時間) 
第3回 事例演習(1):詰め替え用パウチ事件  ①一つの先行技術文献中の一つの発明に基づく新規性欠如、②一つの先行技術文献中の二つの発明に基づく進歩性欠如、③拒絶理由に対する出願人の対応方法(補正や反論)、④研究開発マネジメント・知財マネジメントのあり方について実例から学ぶ。  事例についての事前準備をしておくこと(4時間) 
第4回 事例演習(2):櫛付きキャップ事件  ①一つの先行技術文献中の一つの引用発明に基づく進歩性欠如、②補正のあり方、③補正却下決定、④研究開発マネジメント・知財マネジメントのあり方について実例から学ぶ。  事例についての事前準備をしておくこと(4時間) 
第5回 事例演習(3):外用貼付剤用の包装袋事件  ①一つの先行技術文献中の一つの引用発明に基づく進歩性欠如、②29条の2の規定の適用、③拒絶理由に対応する補正や反論のあり方について実例に基づき学ぶ。  事例についての事前準備をしておくこと(4時間) 
第6回 事例演習(4):食品包装容器事件  ①複数の先行技術文献中の記載を組み合わせた進歩性欠如の拒絶理由について、実例に基づき学ぶ。具体的には2つの文献を組み合わせた進歩性欠如の拒絶理由と、3つの文献を組み合わせた進歩性欠如の拒絶理由について学ぶ。②また、主引用発明の複数の並列的な要素のそれぞれを独立に変更することが容易かどうかの判断(論理付け)について学ぶ。  事例についての事前準備をしておくこと(4時間) 
第7回 事例演習(5):チューブ容器事件  ①複数の先行技術文献中の記載を組み合わせた進歩性欠如の拒絶理由について、実例に基づき学ぶ。具体的には2つの文献を組み合わせた進歩性欠如の拒絶理由と、3つの文献を組み合わせた進歩性欠如の拒絶理由について学ぶ。②また、主引用発明の一つの要素を直列的に変更することが容易かどうかの判断(論理付け)について学ぶ。  事例についての事前準備をしておくこと(4時間) 
第8回 事例演習(6):米飯成型装置事件  ①複数回の拒絶理由の提示に対する段階的なクレーム減縮補正の実例について学ぶ。②引用発明の一つの要素を直列的に変更することが容易かどうかの判断に関し、容易想到といえる限界について学ぶ。③審査段階と審判段階での判断の違いの実例について学ぶ。④拒絶理由の証拠としての先行技術文献の重要性を学ぶ。  事例についての事前準備をしておくこと(4時間) 
第9回 事例演習(7):まつ毛カーラー事件  ①複数の先行技術文献中の記載を組み合わせた進歩性欠如の拒絶理由について、実例に基づき学ぶ。②特に、「当業者が先行技術を組み合わせることの動機付け」に関し、「引用発明中の示唆」について実例から学ぶ。③また外国語書面出願(いわゆる原語出願)の手続きについて実例から学ぶ。  事例についての事前準備をしておくこと(4時間) 
第10回 事例演習(8):携帯電子計算機のキャリングケース事件  ①先行技術を組み合わせることに対する阻害要因があることを理由に進歩性が肯定された事例を用いて、進歩性判断における「阻害要因」について学ぶ。②事例に基づき、先行技術文献としての米国特許公報に馴染む  事例についての事前準備をしておくこと(4時間) 
第11回 事例演習(9):液体吸収性廃棄物袋事件  ①特許庁と知財高裁との間で、周知技術に基づく容易想到性に関する考え方の違いがあったが、これが現在の審査基準では解消されていることを学ぶ。②また、動機づけの一種としての課題の共通性の考え方について学ぶ。③審判と審決取消訴訟のキャッチボールの実例について学ぶ。④行政処分の取消判決の拘束力について学ぶ。⑤PCT出願の手続について学ぶ  事例についての事前準備をしておくこと(4時間) 
第12回 事例演習(10):換気扇フィルタ事件  ①主引用発明に副引用発明を適用する動機づけとしての「課題の共通性」について学ぶ。②また「発明が容易であるというためには、課題解決のために先行技術の構成を採用することが容易であったということだけでは不十分で、その課題の設定が容易であったことも必要になる場合がある」という判決の考え方が審査基準においてどのように採用されているかについて学ぶ。  事例についての事前準備をしておくこと(4時間) 
第13回 事例演習(11):マッサージ機事件  ①記載要件の一つである「明確性要件」について学ぶ。併せて、②明細書等の補正に関する新規事項追加禁止の要件と、③分割要件についても学ぶ。  事例についての事前準備をしておくこと(4時間) 
第14回 事例演習(12):組ブロック玩具事件  記載要件のうちの「実施可能要件」と「サポート要件」について学ぶ。  事例についての事前準備をしておくこと(4時間) 
第15回 まとめ  事例を振り返りつつ、新規性・進歩性・拡大先願・記載要件などの判断実務について復習する。  授業時に指示する(4時間) 
到達目標
(1)本講義における簡易な実案件に関し、特許要件の判断実務の基本的な事項を説明することができる。
(2)本講義における実案件の疑似体験に基づいて、より複雑な事案に対して新規性、進歩性、拡大先願、記載要件などを独力で適用できる。 
評価方法
成績評価は、グループ発表の内容(20%)、討議における意見陳述の内容(20%)、及び最終課題レポートの内容(60%)に基づいて行う。 
成績評価
基準
到達目標(1)に明らかに到達していない場合は、本科目の単位を取得できない(欠格条件)。
平常点及びレポートの内容に基づき、下記の基準にしたがって5段階評価する。
A:到達目標(1)および(2)について、特に優れた成績で達成している。
B:到達目標(1)および(2)について、優れた成績で達成している。
C:到達目標(1)および(2)について、概ね妥当な成績で達成している。
D:到達目標項目(1)および(2)について、合格に必要な最低限度を満たして達成している。
F:上記以外 
教科書
書名 著者名 出版社名
1. 事例の資料を事前配布し、教員の解説資料を当日配布する。     
参考書
書名 著者名 出版社名
1. 特許・実用新案 審査基準  特許庁編  特許庁HPより入手可能 
受講心得
●数名からなるグループ単位で輪番で各事案を担当するため、グループのメンバーどうしで事前準備や当日発表に相互協力すること。
●レポート課題において誤解や不正解が多かった点については、コミュレポにて解説するので各自確認し、理解を深めること。
●この授業はメディア授業対応です。 
オフィス
アワー
担当する講義・ゼミ等の時間を除き、原則として月曜日~土曜日の午後13時30分~18時の時間帯に研究室で対応する。 
実践的教育
【実践的教育】
特許庁において審査官・審判官として審査事件・審判事件を多数担当した教員が、その経験と知識を活かして、審査手続き・審判手続きにおける出願人や審判の請求人・被請求人の対応方法について、初心者にも分かりやすく解説します。